『神と悪魔の薬サリドマイド』

 1957年、鎮静剤として発売された悪魔の薬“サリドマイド”。企業のエゴイズム、企業の肩をもつ政治家や医療界の重鎮たち、安易に薬剤投与を行う医者や薬局、なんだかどこかの国の薬害エイズ事件のことのようでもありますが、それよりもはるか以前に、これらの犠牲者として誕生してしまった“サリドマイダー(奇形児)”たち。

 事件発生後の揉み消し工作や政府の無能ぶり、偏った裁判の成り行きなどをみると、もう昔も今もほとんど変わらないといってよい“あくどさ”!

 何とこんな“悪魔”の薬が重症のハンセン病(らい病)患者に対する“神”の薬になろうとは!しかも種々の難治性自己免疫疾患、多発性骨髄腫、エイズ、はたまた癌に効く可能性のある薬として復活するなんて!果たしてサリドマイダーたちの気持ちは・・・。厳重な販売システムのもと最後の手段として使われることで同意を表明した代表者の胸中はいかほどのものであったか!

 サリドマイドを忘れてしまった、あるいは知らない世代はぜひとも読んでおくべき書だと思います。

 最後にゲーテの一言「愚者と賢者は同様に無害である。半端な知力と教養を持ち常に真実の半分しか気づかない人々こそ危険である。」肝に銘じておきたいものです。

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