睡眠時無呼吸症候群について

睡眠時無呼吸症候群、症状の計測容易に
 居眠り運転事故などの原因として問題となっている睡眠時無呼吸症候群の診断に有効な簡易計測システムの開発が活発だ。産業技術総合研究所は圧力センサーを備えたベッドを開発、何も装着しないでベッドで眠るだけで観察可能。法政大学や慶応義塾大学も同様のシステムをそれぞれ開発。来年度中にも相次いで実用化されそうだ。
 産総研の西田佳史研究員が開発したシステムは、1人用ベッドの下に200個の圧力センサーを敷いたのが特徴。ベッド上で眠る人の体の振動から症状を測定する。
 健康な人の場合は規則正しく振動するが、無呼吸症候群の患者は呼吸が止まった後に大きく息を吸い込むため、大きな振動が起こる。40例以上の実験で、ほぼ100%診断できた。

関心高まる睡眠障害 悪印象恐れる患者
 運転士の居眠りでJR西日本の新幹線が停止した騒ぎをきっかけに、睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの睡眠障害に関心が高まっている。あまり知られていなかった病気だけに、患者が「事故予備軍」ととられるような状況もおき、専門医らはこの病気の正しい認識を求めている。
 近畿地方でバスの運転手をしている男性(43)は2年前、昼間に強い眠気に襲われるようになった。会議や電話中に意識がなくなり、相手と話がかみ合わなくなることもあった。「毎日8時間は眠り、自己管理にも気をつけていました。思い当たることはありませんでした」。医師の診察でSASと診断された。
 治療を続け、眠気は治まった。現在、運転に全く支障はない。しかし新幹線の件以降、SASと事故の関係について新聞やテレビで度々取り上げられ、周囲の目も変わったように感じるという。
 家族からも「お父さんは大丈夫なの」と聞かれる。「見た人が不安がるといけない」と、病院には制服のまま行かぬよう気を配るようになった。以前は「最近、おれも眠いんだけど」と相談されることがあったが、今はなくなった。「人に言いにくい病気という雰囲気が強まった気がする。騒ぎが早く収まってくれるのを待つばかりです」
 国内で数少ない睡眠障害の専門診療施設を持つ大阪回生病院(大阪市北区)では、3月から検査を受ける人が急増した。現在も300人余りが初診を待っている状態だ。
 「国土交通省や交通各社が対策に乗り出したことが繰り返し報道され、自分の眠気の原因はSASと思い込んで来る人も多い。実際には様々な原因があるんです」と、同病院睡眠医療センターの谷口充孝部長は言う。
 ほかの原因として目立つのが睡眠不足だ。とくに看護師やタクシー運転手、工場労働者ら昼夜が関係ない職場で交代勤務につく人に多い。
 対策に乗り出した企業もあるが、谷口さんは「医学的な診断には時間がかかるため、企業の調査は自己診断や問診が中心になるだろう。眠気を自覚している人も仕事を外されることを心配して正直に答えない可能性があり、通院中の人が会社に知られたくないために治療を中止してしまいかねない」と憂える。「睡眠障害を見つけて終わりではなく、無理のない勤務シフトで睡眠不足を防ぐなど総合的な社員の健康対策として取り組む必要がある」という。
 睡眠研究の先進国である米国で専門医の資格を取った大阪府立健康科学センターの立花直子医長は「日本人は睡眠の大切さを軽く見過ぎている」と言う。多くの人は、テレビやゲームで夜更かしをし、仕事優先で食生活も不規則だ。快調に働くためにどれだけの睡眠が必要かや、良質な睡眠をとるための知識もない、と指摘する。
 「一部の特別な症状を示す人だけが睡眠障害とは言えない状況。国がもっと睡眠を重視する施策をとり、特に学校教育で子どもたちに睡眠の大切さと正しい知識を身につけてもらうようにすべきです」と話す。

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