SARS
SARS「鳥類と哺乳類のウイルス合体」 加研究チーム
新型肺炎SARSのウイルスは、鳥類と哺乳(ほにゅう)類のウイルスが合体してできた可能性が強いと、カナダ・トロント大のチームが専門誌に発表した。インフルエンザの新型ウイルスが生まれる仕組みとよく似ており、SARSの予防法や治療法の研究に役立ちそうだ。
SARSを起こす新型コロナウイルスの遺伝情報(ゲノム)を、鳥類や哺乳類から取った各種コロナウイルスと比較。新型ウイルスのゲノムは、鳥類と哺乳類のウイルスが半分ずつ混ぜ合わさったようなパターンになっていた。
ウイルスが感染対象の細胞に入り込む時に欠かせない遺伝子も、鳥類と哺乳類のものが合体したような形だった。このため、人間の免疫系が新型ウイルスに効果的に対応できなかった可能性もあるという。
SARS迅速検査キット、メーカーが厚労省に承認を申請
再流行が懸念されている新型肺炎SARS対策で、感染の有無を約1時間で判定できる検査キットを国立感染症研究所などと共同開発したとして、検査薬メーカーの栄研化学(東京都)は27日、厚生労働省に製造承認を申請した。同省は優先的に審査して、早ければ年内にも成田や関西といった国際空港の検疫所に配置する予定だ。
長崎大学熱帯医学研究所や香港やベトナムの研究機関も共同開発に加わっていた。
キットは、血液やのどの粘液に含まれるウイルスの遺伝子を増やし、SARSに感染しているかを判定する。
これまでSARSの判定には遺伝子の一部を増やすPCR法が使われてきた。しかし、結果が出るまで最低半日かかった。今回開発されたキットは、原理はPCR法と同じだが、遺伝子を増やす仕組みを改良、増殖速度を1000倍に速めて、約1時間でSARSウイルスを検出できる。インフルエンザウイルスや他のコロナウイルスを誤ってSARS陽性と判定する可能性は低いという。
国立感染症研究所の田代真人ウイルス第3部長は「高額な機器が不必要で、手順も簡単なので用途は広い」と話している。
SARS対策、まずインフルエンザ退治から・厚労省
今冬に再流行の可能性がある新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)について、厚生労働省は初期症状が似ているインフルエンザ対策を強化した。診断の目安を示すとともに大流行した昨シーズンの約1.6倍の検査キットを確保、再流行した際にSARS患者を発見しやすいようにする。一般向けの専用相談窓口も設置し、双方の感染被害を防ぐ。
毎年、流行が始まる前の11月からインフルエンザ対策を開始するが、今年はSARS対策として広く周知徹底する狙いもあり、今月20日からに前倒しした。
インフルエンザとSARSは突然の高熱、筋肉痛など初期症状が極めてよく似ている。同省は「インフルエンザQ&A」を新たに作成、「インフルエンザは通常一週間前後で沈静化するが、SARSの発熱は持続し、発病二週間ころより呼吸器症状が強くなる」などと解説、診断の目安としてホームページに掲載した。
検査キットはインフルエンザに感染しているかどうか10―15分程度で判明する。約1524万人分を供給できる見込みで、需要が多ければさらに160万人分増産が可能という。4年ぶりの大流行となった昨シーズン(2002―03年)は約1068万人分が供給され、9割以上が使われたが、その約1.6倍を確保した。[2003年10月23日/日本経済新聞 朝刊]
全日空、SARS対策で全社員に予防接種
冬に再流行の危険性が指摘されている新型肺炎(SARS)対策で、全日空グループは3日までに、約1万5000人の全社員にインフルエンザの予防接種を受けるよう求め、費用を全額負担することを決めた。
新型肺炎とインフルエンザは初期症状が似ているため、予防接種でインフルエンザを抑え、早期に新型肺炎感染を見つけるのが狙い。全日空は「乗客に不安を与えないよう万全の対策を取り、新型肺炎流行に備えたい」と話している。
航空会社の対策では、日航が機長や客室乗務員ら国際線乗務に携わる社員への予防接種を推奨しているが、全社員を対象にした措置は初めて。
全日空の社員約1万3000人とその家族、エアーニッポン、エアージャパンなどグループ会社や現地採用の社員も対象。接種は任意だが、海外に出る可能性が高い運航・客室乗務員には、特に積極的に受けるよう求めている。〔共同〕
・重症急性呼吸器症候群(SARS)について 
厚労省、「10日間は人に会うのは最小限に」
新型肺炎対策で、厚生労働省は23日、SARSの感染が疑われるすべての地域からの帰国・入国者に対し、「10日間は人に会うのは最小限に」という“お願い”を周知徹底することを明らかにした。省内の情報も一元化し、連絡遅れがないように改善することも決めた。
“お願い”は空港の検疫所で健康カードとして配っているが、広く国民にも理解してもらうために、政府広報で知らせる。(1)人に会うのは最小限に(2)やむをえず外出する場合はマスクを(3)発熱、せき、呼吸困難の症状があれば最寄りの保健所に相談(4)医療機関に行く際は二次感染防止のため、事前に電話する(5)予防は外出後の手洗い、うがいが重要――の5項目。
一方、同省は検疫所の担当職員を、感染症対策の中心となる結核感染症課に常駐させ、国内外の感染者に関する情報収集を一元化することを決めた。台湾の男性医師問題で、検疫所からの連絡が滞った経緯があったため。複数の人員で応対し、24時間態勢で連絡を受け付けられるようにする。
独大学、SARS治療に甘草成分有効
ドイツのフランクフルト大学の研究グループは、漢方薬や甘味料に使われる甘草の主成分「グリチルリチン」に、新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)ウイルスの増殖を抑制する効果があることを確認した。抗エイズウイルス(HIV)薬などにも応用されているが副作用は少ないという。
研究グループはサルの培養細胞を使って実験した。グリチルリチンなど五種類の薬剤について、SARSウイルスの増殖を抑える効果を比較した。
研究の結果、グリチルリチンは細胞に悪影響を与えずに、ウイルスの増殖を抑えられる可能性があることが分かった。一部でSARS患者の治療に使われている「リバビリン」は、今回の実験では効果が確認できなかった。成果は英医学誌ランセット最新号に発表した。[2003年6月16日/日本経済新聞 朝刊]
<横浜市立市民病院の相楽感染症部長に聞く>
――感染はどのように診断するのか。
「WHO(世界保健機関)の規定に基づいている。まず、なんらかの症状が出る10日以前に北京やトロントなどSARSの伝播(でんぱ)確認地域に滞在したことがあり、さらに、38度以上の発熱やせきなどの症状がある人をSARSの『疑い例』の患者として診断する」
「『疑い例』だと診断された人の中で、胸部レントゲンで明らかに肺炎とわかったり、肺に水が溜まる症状が見つかる場合には、SARS感染の可能性がより高い『可能性例』の患者と診断され、すぐに入院しなければならない。この病院では『可能性例』の患者が入院していたが、幸いSARSの感染者ではなく、回復したため退院している」
――SARSの感染者は伝播地域以外でも出ているが。
SARS患者を担当する医師や看護士は、院内感染を防ぐためにウイルス通さない特殊マスクや手袋、ゴーグルなどを着けて治療する
「SARSの伝播確認地域には中国では北京や広東周辺、香港、さらにシンガポール、ウランバートル(モンゴル)やトロントが指定されている。これらの国や地域では街中でSARSに感染する可能性が極めて高い。一方、英国や米国などでも、SARSの患者は見つかっている。しかしこれらの国では、SARS患者は病院内で治療を受け、外部と接触がないよう配慮されているため、伝播確認地域になっていない。街中で感染する可能性も低い」
――もしSARS患者が入院したらどんな治療をするのか。
SARS感染の疑いがある患者が入る病室。一見、普通の病室に見えるが、ウイルスを外に出さない陰圧機能が天井に付いている
「SARSの治療法はまだ確立されていない。感染患者に対しては点滴を打ち、呼吸困難を緩和する酸素吸入などをするが、最後は患者本人の抵抗力に頼るしかないのが実態だ。WHOは原因を新型のコロナウイルスによるものと特定したが、ワクチンの開発にはまだ時間がかかりそうだ」
「肝炎の注射薬のリパビリンが効くとの情報もあるが、確かな効果は確認されていない。この薬は、日本では使用認可がないうえ、用法を誤れば肝機能障害や胃腸障害などの副作用を起こす可能性もある」
――ベトナムや香港などではSARSが院内感染で広がった。横浜市立市民病院では院内感染防止にどんな備えをしているのか。
「SARSは唾液などによる飛まつ感染が怖い。そこで患者の1メートル以内に近づく場合、医師や看護士は外科用マスク、手袋、ゴーグルを身につけて院内感染を防ぐ」
「患者には専門の医師が2人で担当、付きっきりで看護にあたる看護士がひとり付く。病室は外部との気圧を変え、ウイルスを外に出さない陰圧室にしてある。この病室は普通の環境より0.1気圧少なくできるうえ、1時間当たり最高15回程度まで、部屋の空気をすべて入れ替えることができる。排気設備にはフィルターが付いているため、患者の持つウイルスや細菌が拡散することはない。このような病室が14室ある」
――SARS感染が疑われたら、どうしたら良いか
「感染の診断が下せるのは10日ほどの潜伏期間を過ぎた後なので、患者が感染地域から帰国したばかりの当初は、医師にも判断が下せない。感染が疑われる人は、まずマスクをし、外出をひかえ、家族を周りに近づけないで欲しい。そして病院にいるほかの人への感染を防ぐために、病院にはあらかじめ診断を受けると連絡をして、マスクを付けて来院して欲しい。各地域の保健所には厚生労働省からSARS対応の指導がいっているので、まず地域の保健所に相談することをお勧めする」
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(5/7)SARSの死亡率、15%まで悪化―WHO見解
世界保健機関(WHO)は7日夜(日本時間8日未明)、新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)による死亡率が最終的に15%程度まで悪化するとの見解を公表した。感染者に対する死亡者の割合はこれまで約7.2%だが、香港などで症例を綿密に分析し、ほぼ倍増の結論に達した。SARSが結核(死亡率10%弱)などを上回る危険な感染症であることがはっきりしてきた。
WHOは感染者などを仕分けするとともに、死亡したか、治癒したかなど詳細に追跡し、統計的に最も精度の高い手法で最終死亡率を試算した。この結果、香港で15%、シンガポールで14%に達することがわかった。感染が広がった地域で初のSARS制圧宣言を出したベトナムの死亡率は8%と低いが、WHOは「健康だった若い病院関係者に感染者が多かったため、死亡率が低くなった」と分析した。
感染者の多いカナダ、中国、香港、シンガポール、ベトナムの死亡率を年代別にまとめてみると、65歳以上の高齢者が5割超と飛び抜けて高い。45歳―64歳では死亡率15%とほぼ平均値で、25歳―44歳で6%、24歳以下では1%未満と若くなるほど際だって低下する。WHOは年齢に加えて健康状態も生死を大きく左右するとしている。
(5/5)SARSウイルス、人体外で最長4日間生存
【ジュネーブ=清水真人】世界保健機関(WHO)は5日、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)の原因となるウイルスが人体の外で少なくとも4日間生存できることを確認したと発表した。WHOと連携する日本、ドイツ、香港の感染症研究機関のネットワークが突き止めた。ウイルスに汚染された手や物への接触で感染が広がる恐れが強く、一段と警戒の強化が必要になる。
同ネットワークによると、新種のコロナウイルスであるSARSウイルスは乾燥したプラスチックの表面で室温で48時間まで生存可能と判明した。香港大学クイーンメリー病院は尿の中で最低でも24時間、便の中で最低2日間は生きられると断定。香港保健衛生当局はサーズ感染者の下痢状態の便の中だと4日間もの生存が可能だと言う実験結果を得た。
これまでに知られているコロナウイルスは体外で数時間しか生きられないとされ、SARSウイルスはより強力であることが明らかになった。乾燥したプラスチック上でも長時間生き延びるとなれば、ドアのノブやテーブル、イス、食器やコップなどの表面を通じても感染する恐れがある。病院関係者を含め、感染者の便など汚物に接触すると危険はさらに増す。
(5/5)SARSウイルス、体外でも1日以上生存
新型肺炎を起こすSARSウイルスは、人間の体内から出ても1日以上生き続け、従来のコロナウイルスより生命力が強いことが、世界保健機関(WHO)などの5日までの研究で分かった。
患者、感染者のせきやくしゃみのしぶきに含まれるウイルスが本人の手やテーブル、ドアノブなど身近な物に付着、それに触れて感染が広がった可能性を示し、手洗いの重要性を再認識させる結果といえる。
WHOのホームページや英科学誌ニューサイエンティスト(電子版)などによると、常温でプラスチック板にウイルスを含む液体を乗せ、乾燥した24時間後に調べたところ、約1割のウイルスが生き残っていた。
また、尿や便の中では1―2日間、下痢の便の中では4日間、生存していた。
一方、殺菌剤、消毒液などにさらされると、ウイルスは短時間で感染力を失うことも確認された。国立感染症研究所(東京)は、家庭や職場でドアノブやテーブルなどを消毒する場合は、水で50―100倍に薄めた塩素系漂白剤を使えばよいとしている。〔共同〕
SARSの死亡率さらに上昇、5〜6%に WHO
世界保健機関(WHO)は25日に行われた会見で、新型肺炎SARSの死亡率について「5〜6%」に達することを明らかにした。
WHOは当初、死亡率を4%程度、その後、5%前後としていたが、今回、さらにSARSの死亡率は高いとの認識を示した。ただ、年齢や、健康状態によって、死亡率に大きな差があるため、確定にはさらに調査、研究が必要という。
24日現在でWHOがまとめたSARSの感染者数は4439人、うち死亡者は263人。死亡率は5.9%となっている。(2003/04/26)
SARS、突然変異で毒性強まる? 被害大きい香港
世界保健機関(WHO)によると、香港ではSARSウイルスが突然変異して、毒性を強めた疑いが出ている。
22日までにWHOに患者発生を報告した国・地域は27。大半の国では患者を隔離して、手洗いや消毒など標準的な対策で、大規模な2次感染を防ぐことに成功している。
発症しても、8〜9割は自然快復。重症化して死亡するのは、糖尿病など他の病気を持つ高齢者が中心で、致死率は4%程度だ。
ところが、集団感染が起きた香港のマンション「アモイガーデン」では、重症化する割合が2割と他の地域の2倍。健康な若者でも死者が相次いでいる。また、他地域では数%しか見られない下痢症状が7割の患者で出ている。
WHOは、特殊な環境の中で大量に増えたウイルスが一度に体内に入った可能性に加えて、ウイルスが毒性の強い型に変異した可能性を新たに指摘している。
ウイルスは他の生物に感染して自分の遺伝情報を複製して増えていく。ところが、何回かに1回、複製に失敗して遺伝情報が変わる。この結果、毒性の強い型になったという可能性だ。
日本の国立感染症研究所など9カ国13機関は共同で、発症から約10日後には感染を示す血液中の抗体を確認できる検査法や、たんや血液からウイルスの遺伝子の一部を検出する方法などを開発中。しかし、精度に限界があり、決定的なものではない。WHOは「結果が陰性でも『感染していない』と断定できない」としている。(2003/04/22)
北京の肺炎感染者、40人から339人に大幅修正
中国衛生省は20日、北京市の新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)感染者数をこれまでの40人から339人に、死者数も4人から18人へと大幅修正する感染統計を発表した。
このほか、感染が疑われる患者が402人いると発表。合計すると741人に達し、広東省に続いて首都北京で深刻な感染拡大が進んでいることが分かった。
中国全国では18日時点で、感染者数がこれまでの1482人から1807人に増え、死者数も65人から79人に増えた。世界保健機関(WHO)の統計を基に計算すると、世界の感染者の9割を中国が占めることになる。
タカラバイオ、SARS流行でウイルス検出キット無料配布
【京都】宝ホールディングス傘下の事業会社タカラバイオ(大津市)は23日から、コロナウイルスを検出するキットの無料配布を公的機関向けに始める。コロナウイルスは新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)の病原体と疑われている。国立感染症研究所などに提供し、性能の評価を受けて将来販売する。
キットはドイツの企業と医学研究所が共同開発した。ウイルスの量の測定が可能で検出感度が高く、検査開始から約40分で検出できる。1キットで24検体を調べることができ、国内では数十キットを配布する予定。タカラバイオは今月中に中国でも無料配布を始める。1キットの価格は10万円前後になるもよう。「販売開始時期は評価結果の回収状況などによるため未定だが、夏までには販売できるとみている」(バイオインダストリー部)という。[2003年4月17日/日経産業新聞]
「SARSウイルス」と命名 WHOが新型肺炎で断定
世界保健機関(WHO)は16日、東アジアを中心に多数の死者を出している新型肺炎の重症急性呼吸器症候群(SARS)は、新型のコロナウイルスが原因と確認されたと発表。「SARSウイルス」と名付けた。日本を含む各国の専門家をジュネーブに招集し、オランダ・エラスムス大によるサルの感染実験などをもとに検討し、断定した。
病原体が断定されたことで、流行地への旅行を避けたり患者を隔離したりといった「守りの対策」に加え、ワクチンの開発など「攻めの対策」が可能になる。WHOがSARSの警戒情報を出してから1カ月余。未知の病原体がこれほど早く確認されたのは、感染症対策史上、初めてだ。
SARSウイルスはすでにRNAの塩基配列も解読され、世界各国の研究機関が協力して対策確立を目指している。
病原体の特定を受け、厚生労働省はSARSを「指定感染症」に指定する。強制入院などの措置をとる際、患者ごとに厚生労働相の指導を受ける手続きは不要で、機動的に対応できる。
「SARS、動物から人間に伝染」 香港研究チーム発表
重症急性呼吸器症候群(SARS)による肺炎で、香港大学医学部の研究チームは16日、ウイルスは人間のものでなく、動物から人間に伝染したと考えられる、と発表した。
同チームはコロナウイルスの遺伝子配列を解読した結果、人間のものではない、との結論が出たとしている。具体的な動物の種類はまだ特定できていないという。
香港紙の報道では、中国広東省での初期の病例には野生動物の食肉を扱う業者や調理師が含まれており、動物から感染したとの見方は以前から強かった。
香港政府は16日、前日からの感染者が新たに36人増え、1268人になったと発表した。死者は5人増え、計61人となった。
SARSの原因はコロナウイルス オランダの大学が確認
東アジアで流行している重症急性呼吸器症候群(SARS)は新型のコロナウイルスが原因であることが、オランダのエラスムス大によるサルを使った動物実験で初めて確認された。世界保健機関(WHO)などは今後、診断法や治療法の開発を急ぐ方針だ。
同大学では、患者から分離された新型のコロナウイルスを使い、サル2匹で実験。サルの血液から、感染したことを示す抗体が見つかった。解剖で肺炎を起こしていることも確かめられ、ウイルスも回収できた。
同大学などと連携して原因の解明を進めている国立感染症研究所の田代真人・ウイルス第3部長は「ほかのウイルスと重複感染している可能性は残るが、これで新型のコロナウイルスがSARSの原因であることは、ほぼ間違いないことが分かった」と話している。(2003/04/12)
香港と広州の病原体は同じコロナウイルス SARS
重症急性呼吸器症候群(SARS)による肺炎が流行している香港、中国・広東省の病原体が同じコロナウイルスと分かった。香港大学医学部と広州医学院の共同研究チームが12日、同省広州で発表した。
香港公共ラジオによると、両研究チームが広州の患者19人の血清を分析したところ、香港の感染者から検出されたものと同じコロナウイルスの抗体を発見、同ウイルスへの感染が確認された。2人の感染者の鼻腔(びくう)の分泌物からも同ウイルスを検出したという。
世界保健機関(WHO、本部ジュネーブ)や米国疾病対策センター(CDC)、香港大などは早くからコロナウイルス説を唱えてきたが、中国側はこれまで一貫して「病原体はクラミジア類」と主張していた。
同日、香港政府は新しい感染者が前日午後から49人増え、1108人となったと発表。死者は3人増えて35人。退院した人は46人おり、計215人となった。(2003/04/12)
(4/9)SARS患者、9割から新種コロナウイルス
香港大学のグループは重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因と疑われている新種のコロナウイルスを患者の9割から発見、8日付の英医学誌ランセット(オンライン版)に発表した。患者50人のうち45人から見つかった。日米など9カ国11研究機関からなる世界保健機関(WHO)の共同研究組織も同ウイルスが主因との見方を強めている。
政府、SARSを「新感染症」に指定
政府は3日、中国・広東省や香港を中心に広がる原因不明の新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS=サーズ)の緊急対策を決定した。対策は(1)感染法上の新感染症として扱う(2)不要不急の渡航を延期するよう勧める危険情報を発出(3)同地域発の航空機内で問診票を配布し国内空港の検察体制を強化――など。中小旅行会社への支援にも乗り出す。航空、旅行各社もSARS対応に動き始めた。
肺炎SARSの治療法分からず――米機関が大規模感染を警告
米疾病対策センター(CDC)は29日、アジアを中心に広がっている重い肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)に有効な治療法や薬はまだ見つかっておらず、大規模な感染が起きる可能性があると強調、警戒を一段と強めるように異例の呼びかけを実施した。
ガーバーディンCDC所長は同日の記者会見で、原因とみられる新種のコロナウイルス(風邪の原因ウイルスの一種)について、「有効な抗ウイルス剤は見つかっていない」と指摘、発病した場合、現時点では対症療法に頼るしかないと強調した。
同ウイルスの感染力が「非常に強い」ため、今後大規模な流行が起きる恐れがあると警告した。ウイルスは患者に接触した家族や医療関係者を中心に広がっており、せきやくしゃみなどによる飛まつ感染が中心だが、患者が触ったものなどを通じても感染する可能性があると指摘した。[2003年3月31日/日本経済新聞 朝刊]
原因不明の肺炎、日本人男児は非感染・香港
香港の日本総領事館によると、原因不明の肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS)に感染したとされていた香港の幼稚園に通う日本人の5歳の男児の病気は、病院のその後の検査で同症候群ではなかったことが29日分かった。男児は今月半ばに肺炎の症状を訴え、病院に入院していた。現在は症状は緩和し快方に向かっているという。[2003年3月30日/日本経済新聞 朝刊]
SARS、香港のマンションで拡大 空気感染のおそれも
重症急性呼吸器症候群(SARS)による肺炎が流行している香港で、九竜(カウルン)のマンションで30日までに121人の感染が確認された。米疾病対策センター(CDC)のガーバーディング所長は29日の記者会見でこのケースを取り上げ、「唾液など分泌物による飛沫感染だけではなく、空気感染の可能性も示している」と警告した。 また、新たに中国南方航空とドラゴン(港龍)航空に感染者が搭乗していたことが分かった。
30日付の香港紙明報はSARSのウイルスが、野生動物から人間に感染した可能性がある、と報じた。
世界保健機関(WHO、本部ジュネーブ)は29日、ハノイでSARS治療に従事していた同機関のイタリア人専門家、カルロ・ウルバニ医師(46)がSARSにかかり、タイの病院で死亡したと発表した。SARSでWHOの専門家が犠牲になったのは初めて。(2003/03/30)
謎の肺炎SARSが猛威、アジア企業にも打撃
アジアなどで広がる謎の悪性肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS)で、香港ではスポーツや音楽のイベントが中止になるなどの影響が出始めている。アジアの観光にも大きな痛手を与えているほか、企業のビジネスにも余波が及んでいる。
27日午後1時時点で死者数が11人に達した香港では、28日に始まった国際的な7人制ラグビー大会「香港セブンズ」でアルゼンチンやオランダチームが参加を中止。人気ロックバンドのローリング・ストーンズも予定していたコンサートを取りやめる。
香港特別行政区政府によるとホテルの平均客室稼働率は通常に比べ10%低下、飛行機で香港入りする外国人も20―30%減少した。
影響はビジネス面にも広がりつつある。欧米金融機関などは香港で予定していたセミナーや国際会議を中止。昨年11月に初の事例が報告された広東省では、4月中旬に省都広州で恒例の広州交易会が予定されているが、「海外からの宿泊予約は例年に比べかなり低い」(五つ星ホテルの予約係)。同交易会の成約額は春秋の2回計で中国の年間輸出の約1割を占める。それだけに来場者の大幅な減少は「中国の輸出動向にも影響する」と市政府職員は懸念する。
原因不明の急性肺炎世界に広がる 9人死亡、WHO警告
世界保健機関(WHO)は15日、アジアから世界に拡散し、死亡者が出ている原因不明の急性肺炎について、今後も、旅行者を通じて感染がさらに広がる恐れがあるとし、異例の「警報」を出した。通常の薬では治療できず、原因も特定できていないという。
WHOによると、これまでに発症が報告されたのは、中国、香港、フィリピン、シンガポール、ベトナムなどアジア諸国が中心。先週だけで、150人の新たな発症の報告があったという。これまでの発症者は500人を超えるとみられる。高熱やせき、呼吸困難などの症状が伴い、重い肺炎に進むという。
死亡者はこれまでに9人。うち2人は香港旅行から帰った親子で、カナダで死亡した。ニューヨークからシンガポールに向かう途中、肺炎の症状が出たためドイツで隔離された乗客もいる。
WHOは「健康への世界的な脅威」として、旅行者への注意喚起と各国の公衆衛生当局に、警戒と発症の通報を呼びかけている。
原因不明の肺炎、香港では83人が感染
香港政府は17日、東南アジア一帯で広がっている流行性の肺炎について同日までに香港でも北郊の病院を中心に、83人の感染者が確認されたと発表。公共交通機関や飲食店などに予防策の徹底を呼びかけている。
香港北郊の病院で10日ごろから医師、看護師の間で発熱やせきなどインフルエンザと似た症状による欠勤が出始めた。院内で広がった模様で、確認されている感染者はこの病院の職員と実習医学生、家族、友人が大半。
楊永強・衛生福利食物局長は「この病院の入院者の一人が今回の発生源の可能性がある」と報告した。香港では97年にトリインフルエンザが大流行したが、楊局長は「関連はない」と否定した。
香港に隣接する中国広東省でも昨年末から似た症状の肺炎が流行、300人以上が感染、5人が死亡した。その後、原因はクラミジア菌と断定、収束したが、香港ではウイルスや菌体がまだ特定されておらず、関連は不明だ。 (2003/03/17)