クリニック通信2004年3月号 〜

予防接種、忘れていませんか!?
 3月は予防接種の確認強化月間となっています。
 定期接種の3種混合(DPT)1期、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎1期はすべて“生後90ヶ月”までは無料接種券が利用できます。すなわち“7歳6ヶ月”がタイムリミットとなりますので、今年小学校に入学されるお子様のお母さんは今一度“母子手帳”をご確認ください。
 また小学校で行う3種混合2期と日本脳炎2期、および中学校で行う日本脳炎3期のタイムリミットにもご注意ください。

抗アレルギー薬について
 抗アレルギー薬といえば花粉症や喘息、蕁麻疹の治療薬ですね。現在27種類もの薬が市販されています。 
 大きく分けると、
(1)メディエーター遊離抑制薬(マスト細胞からヒスタミン、ロイコトリエンなどアレルギー反応を起こす物質が発射されるのを抑える)<インタール、リザベン、アレギサールなど>、
(2)ヒスタミンH1拮抗薬(ヒスタミンの活動を抑える)<ザジテン、セルテクト、アレグラ、アレジオン、エバステル、ジルテック、タリオン、アレロック、クラリチンなど>、
(3)トロンボキサンA2阻害・拮抗薬<バイナスなど>、
(4)ロイコトリエン拮抗薬<オノン、アコレート、シングレアなど>、
(5)Th2 サイトカイン阻害薬<アイピーディ>、となります。

 喘息予防にはロイコトリエン拮抗薬が、鼻づまりタイプの花粉症にはトロンボキサンA2拮抗薬が良さそうですが、基本的には皆さん自身とお薬との“相性”をみながら処方を適宜調整することとなります。ぴったりと皆さんそれぞれの“カギ穴(アレルギーの穴か?)”をブロックしてくれるお薬は異なるようです。万能薬はなさそうです。
 花粉症対策としては、花粉が飛び始める2週間前から予防的に服薬することが勧められておりますので、今年のスギ花粉症には間に合いませんが、ヒノキが主体であったり、これから先の秋の花粉シーズンなどにはぜひ予防的に内服しておきましょう。
 ついでに漢方薬の宣伝(またか、って言わないでね)、くしゃみ・鼻水には“小青竜湯”、鼻づまりには“葛根湯加川きゅう辛夷”、よく効くと思いますが・・・。

前立腺ガンの早期発見に『前立腺特異抗原(PSA)』検査を!
 『前立腺ガン』といえば、天皇陛下の罹られた病気ということで、一躍有名になったことはまだ記憶の片隅に残っていることと思います。
 ある集団検診では50歳以上の男性100人の内一人(1%)が前立腺ガンだったということです。胃ガン検診(0.1%)や子宮ガン検診(0.15%)の発見率に比べて、かなり高率に発見されています。
 前立腺ガンの原因はまだ明らかではありませんが、高齢化と脂肪の摂りすぎは発生率や死亡率とよく相関しておりますので、これから将来的にもどんどん(急速に?)と増えていく疾患と言えるでしょう。2010年には今の4倍の前立腺ガン患者数との予測もあるほどです。
 前立腺ガンの症状は、前立腺肥大症と同じように前立腺が腫れるので尿が出にくくなるのですが、ガンの多くは尿道から離れた所から発生するため、早期には尿道が圧迫されず,肥大症ほど著明な症状が出ないことがあります。前立腺ガンが進行し骨に転移を起こし、神経痛のような骨の痛みから発見されることもあります。
 これまでは「症状が出たときにはもう遅い!」ということだったのですが、最近血液検査で前立腺ガンを発見できるようになりました。それが『前立腺特異抗原(PSA)』です。前立腺特異抗原(PSA)というのは,前立腺の細胞の中だけで作られている蛋白のことですから、数値の異常は前立腺に何らかのトラブルが発生していることを示します。前立腺特異抗原(PSA)値の異常は前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇することがしばしばありますので、一概に前立腺ガンとはいえませんが、この検査で異常が見つかった場合には、泌尿器科専門医の診察を受けましょう。
 『50歳になったら前立腺特異抗原(PSA)値のチェックを!』毎年の健康診断のついでに検査をしましょう。
*このお話は“男性限定”です。女性には全く関係ありません。念のため!

生活習慣病シリーズ(1)高血圧について
 今月から数回にわたって、一応私の専門とする『生活習慣病』の解説をします。第1回目は『高血圧』についてです。
 高血圧を診断するためには、まずご自身の血圧を知らなければ始まりません。そのためにも定期的に健康診断を受けることが必要です。あるいは機会があるたびに血圧をチェックしておくことです(例えばスポーツジムなど)。
 血圧には収縮期血圧(俗に“上”の血圧)と拡張期血圧(俗に“下”の血圧)があり、収縮期血圧が140mmH以上、あるいは拡張期血圧が90mmHg以上を高血圧とします。
 高血圧を治療する目的は、高血圧の重大合併症である脳卒中、心筋梗塞、腎不全などへの進展を防止し、ひいては生命予後を改善する(すなわち死亡率を減らす)ことにあります。単にその場の血圧に“一喜一憂”することではありません!
 治療ですが、収縮期血圧180mmHg以上、あるいは拡張期血圧110mmHg以上は『重症高血圧』と呼ばれ、直ちに治療が必要です。また糖尿病や虚血性心疾患あるいは脳疾患などの臓器障害や心血管病を合併されている場合には、収縮期血圧140mmHg以上あるいは拡張期血圧90mmHg以上でも『高リスク群』と考えて、直ちに降圧治療を始めますが、それ以外の場合はしばらく生活習慣(食事内容や運動量、生活リズムなど)を改善する努力をしてもらい、さらに可能なら家庭血圧をチェックしてもらいます。
 特に、(1)塩分制限、(2)適性体重の維持、(3)アルコールの適量摂取、(4)脂肪分の摂りすぎに注意、(5)適度な運動、(6)禁煙の6項目は大切です。
 降圧剤は現在、A-II受容体拮抗薬(ニューロタン・ブロプレス・ディオバン・ミカルディス)が主流となっておりますが、身体の状態(例えば浮腫みやすいなど)により、カルシウム拮抗薬(ノルバスク・アムロジン・コニール・アテレック他多数!)や利尿薬(ラシックスなど)、交感神経抑制薬(テノーミン・アーチスト・カルデナリンなど)などに代えたりあるいは併用します。
 自覚症状が乏しく、“サイレント・キラー”と呼ばれる『高血圧』、放置することなく収縮期血圧120mmHg以下&拡張期血圧80mmHg以下の『至適血圧』(もっとも理想的な血圧)をキープし、合併症に悩まされない“生き生き人生”を楽しみましょう!

戻る